映えない

人生が映えない人間は写真も映えない

大腸に教えられる

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汚い話なので食事中の人は読まないでね。食い物の写真を最初に載せといて、なんだけど。

会社の健康診断の便潜血検査が陽性だったので、大腸内視鏡検査を受けた。

最悪の場合、大腸がんにかかっていることになる。大腸がんは40歳過ぎから増えるのだ。あまり関係ないけど父方の伯父も大腸がんにかかったし。

大腸内視鏡検査は受ける前日から食事に制限がかかるし、当日は下剤を大量に飲まなければならない。腸を空にするのだ。

スポーツドリンクみたいな1.8リットルの下剤を飲み干して腸を完全にきれいにして、病院へ。表情が硬かったのか、スタッフに「大丈夫ですか? 気分悪くないですか?」と聞かれる。ビビってるのが顔に出まくっていたようだ。

検査用の紙パンツみたいなのをはいて診察台に寝転がる。「がんだったらやべえ」「楽だと聞いてるけどもし検査が痛かったらどうしよう」「実は鎮静剤が効かない特殊な体質だったらどうしよう」という恐怖感があって、検査をする医師以外のスタッフは女性なのに自分は今、尻丸出しという間抜けな現状への羞恥心すら芽生えてこない。

でも鎮静剤が点滴で打たれたらあっという間に寝た。なんとなく尻に違和感があるなとぼんやり思った直後に「終わりましたよー」と女性スタッフから声をかけられる。そのあとはちょっと安静に。

結局がんは見つからず、小さなポリープがあったので切除しときました、ぐらいの話だった。医師は大腸内の写真をくれた。

胃カメラのときも思ったけど、自分の大腸の写真なんてもらってもどうしようもない。気味悪い。

でもその写真を眺めているうちに「40年以上も働いてくれてるのに特に異常はないし、腹を下しやすいということもない。暴飲暴食もしてきたのに。ありがたいなあ」という不思議な感謝の念が湧いてきた。自分の内臓なのに。

ということもあって、最近は全然酒を飲んでいない。医療保険がん保険にも入った。結局何もなかったわけだけど、今回の出来事はいろいろと自分の人生とか生活を見つめ直すきっかけになったかもしれない。

松田優作は40歳でがんで死んだ。そういうことが自分の身に起こってもなんら不思議はない歳である。

次の大腸検査は2年後ぐらいにやる予定。ほら何事もなかったじゃないか、じゃないんだよね。人間は何事も起きないと「杞憂だった」と調子に乗る。どうせ大丈夫だろうとたかをくくると、あとで「なぜ俺はあのときああしなかったのか」と思ってしまう。

いろいろと勉強になったな、と思う。