映えない

人生が映えない人間は写真も映えない

空白を満たしなさい

X100V(文章とは関係がない)

NHK総合で放送されている「空白を満たしなさい」がなかなか面白い。

平野啓一郎の小説が原作なのだが、雑に説明すると、飛び降り自殺したサラリーマンがなぜか生き返り、自分の死の真相を探っていくというストーリーだ。というとSFミステリーのように思えるが、実際にはそういう話ではない。まあ観てみないとわからないと思う(あるいは観てもわからないかもしれない)。

柄本佑阿部サダヲ鈴木杏といった役者たちの演技が良いのは言わずもがな、「透明なゆりかご」でもいい仕事をしていた清水靖晃の音楽が素晴らしい。地上波ドラマの劇伴でこういう音楽に触れられることは少ない。大半は過剰で仰々しくてベタベタした音楽が付けられているからだ。

先週放送された回で、阿部サダヲが演じる男がゴッホの自画像について話すシーンはかなりの迫力があった。演出にも演技にも、そこで語られる内容にもうならされる。生きづらさを感じたことがある人なら誰でも心が揺れるのではないだろうか。逆に、多少生きづらくとも強く(あるいは鈍感に)生きてきた人からすれば「何を言ってるんだか」な内容だろう。

実は平野啓一郎はあまり好きな作家ではないのだが、ドラマが良いので原作も買ってみた。これで今並行して読んでいる本は6冊になる。こういう読み方が正しいのかはわからないけど、少なくとも嫌いではない。