映えない

人生が映えない人間は写真も映えない

ほんの少しだけ心が痛む思い出

X-T5 + XF35mmF1.4 R

X-T5 + XF35mmF1.4 R

友達が出演中の舞台を観に池袋へ。

芝居って観るたび「すげえな、こんなのよくやるよ」と思ってしまう。

自分は幼稚園?だか保育所?だかにいたとき、「金のがちょう(黄金のがちょう)」というグリム童話をもとにした劇に出たことがある。

劇といっても幼稚園児がやるものだし、セリフを覚えたなんて記憶もないから、たぶん舞台上で決められた通りに動いて、セリフとかは先生だか保母さんがマイクで言っていたのかもしれない。

「金のがちょう」がどういう話なのかはウィキペディアあたりで読んでいただければわかるのだが、物語の中に出てくる兄弟の兄を自分は演じた。なぜそんなことになったのかは全然覚えていない。

自分が唯一覚えているのは、この劇でのある失敗だ。金のがちょうは新聞か何かを固めたものを金の折り紙だか何だかでコーティングして、くちばしのところにオレンジの紙が貼ってあった。ところが、本番で自分がこのがちょうのオレンジのくちばし部分を持った瞬間、取れてしまったのである。オレンジの紙が。

当時の自分はバカな子供だったので(今はバカな大人です)「あらま」といった感じで取れたくちばしを客席に見せたら大ウケだった。

しかしそのあと、この劇の指導をしていた先生がショックを受けて、ピアノに突っ伏して泣いていたのを覚えている。子供の芝居とはいえ、それぐらい力を入れていたのである。なんだかとても気まずかった。まあくちばし部分をもうちょっとちゃんと作っておくべきだったのではないかとか思わないこともない(当時もそう思った気がする)が、やはり「悪いことしたな」という感覚はあった。でもバカな子供なので、すぐ忘れたと思う。

とはいえ今でもそのことを折に触れて思い出して、ほんの少しだけ心が痛むのもまた確かである。あの先生、健在なら今は60〜70代かな。